そのほかにも
スカリフィケーション (scarification、
皮膚に傷跡を作ることで身体を装飾する)、ブランディング(branding、焼印を当てて傷跡をつける)、スカルペリング(scalpelling、スカルペル(
メス)で傷を作り装飾品を埋め込む)、シェーピング(shaping、
コルセットや
纏足で身体を締め付ける)など、過激な
身体改造による肉体の装飾や美化といったものもあり、これらも原始時代より今日まで様々な民族が実践してきた。
極端なものでは、身体の切断や、肉体的極限にまで自分の体を追い込むものもある。
デニス・オッペンハイムの作品では、開いた本を自分の胸に乗せて日光浴をし、本を載せた部分以外の皮膚がひどい日焼けになるまで横たわるというものがある。
マリーナ・アブラモヴィッチの作品には、自分が疲労で倒れるまでダンスを踊り続ける、という内容のものがある。彼女の『Rhythm O』(1974年)では参加した観客に、72通りの苦痛や歓喜を与える方法が示され、それらをアブラモヴィッチの身体に加えるよう指示される。観客は6時間にわたり彼女をナイフで切ったりとげを腹に押し付けたり唇に口紅をさしたり羽根で肌をなでたりする。このパフォーマンスは、観客の一人がリストの中から弾丸を込めた銃を選び、それを彼女の頭に押し付けたところで観客同士の乱闘が起きて終了となった。クリス・バーデンの『Shoot』では、観客の前で助手に自分の腕を銃で撃たせた。この様子を記録した8分間のビデオはボディアートとパフォーマンスアートの悪名高い一例となっている。
近年では、
医学や
情報技術の発展に伴い、人体をとりまく環境や認識は劇的に変化している。このような中で身体の問題は
哲学・
社会学・
現代美術において重要な課題となっており、従来のボディアートの概念に収まらない「身体をテーマとする美術」が多くみられる。主要なテーマは、人体への異物の
インプラント、機械と人体との
共生や
サイボーグ、仮想的身体、身体の不在などがある。テレビ時代以降の情報社会の中では自分の身体は忘れられがちであり、身体を軽視する人間をテーマとする作品や、人間が肉体をもつ生き物であることを再認識させるような作品もある。